2015年11月19日木曜日

本音・・・1

デザインで飯を食うことに本気のあなたへ・・・

この辺で、私の本音をお伝えしておきたいと思います。
本日はちょっと長くなりそうな予感がします。

私が若い頃の業界がどういうところだったのか、
その辺もどうか読んでみてほしいと思います。

まず、こんな拙いブログへ訪問頂いている方へ感謝申し上げます。

私のブログは広告だけではなく、音楽、映画、写真など
クリエイティブな感覚が必要なものを含めて
「デザイン」というカテゴリで記事を書いています。
いったい何人の方が読んでくださっているのかはわかりません。

デザイン業界以外の方の方が多いのかもしれませんね。
私は、今年の4月でデザイン業界38年目に突入しました。

このブログにも数回、私の作品を画像としてアップもしました。
見てくれたあなたがどう言った感想を持たれたのか・・・
それも私には分かりません。

多分、大抵のかたは、デザイナーってこんな程度なの?
そういう感想を持たれた方も多いのではないでしょうか?

あなたが想像するような、広告デザイナーらしい
話題になるような作品もアップしていないので
そう思われてもしょうがないかなと思っています。

何度か申し上げましたが、人の感覚やセンスは百人百様、十人十色。
感覚が命というデザイン業界において、歳取ると感覚も錆び付き、
あんたみたいなオッサンなんて役立たずなんじゃないの?
そう思われても致し方ないかなと思いますが・・・

そういう環境の中で、私は37年、デザイナーを続けられています。
定年を迎えた私がいまだデザイナーを続けられています。

私自身もなぜだろうと考えた事あるんですが・・・

100年満点を目指さなかった事が大きいかなと思ってます。
常に100点満点をめざしていたら・・・
この過酷な業界の中で、とっくの昔に私は潰れていたでしょう。

プロだから100点目指すのは当然だろ!それがプロだろ!
そうおっしゃりたいのは理解できます。

そもそも私が何点のデザイナーなのか・・・
それを決めるのは私自身ではありません。
決めるのはクライアント様、社内、周りの方々です。



仮に50点のデザイナーだったら・・・・
私はすでにこの業界にいないはずです。

 現在の会社でも、ここ一番という場合には私に話が回ってきます。
 なぜでしょう?

それは引き出しの多さに他なりません。

これだけは、若いデザイナーさんに真似できない部分です。
賞取りとも縁のない私がいまだにデザイナーを
続けられている最大の理由がここにあります。
要するに経験値です。

私がこのブログを書いている理由も
その経験値を少しでも伝えられないか・・・・
そこにあります。

まず、十人十色、百人百様の感覚の世界で
100点満点はありえないというのが私の考え方。


いい例が、あの佐野氏のエンブレムデザイン。
当初からわたしには、まったくもってピンときませんでした。
そもそもデザイン業界でもああいう華やかなグラフィックの世界そのものを
まったく信用していません。
まっ、どうでもいい世界なのでこのへんで止めておきます。

で、私が生き延びられている理由・・・
あいつに頼めば、最悪でも常に70~80点のデザインがあがってくる!
私が生き残れてる要因がそこにあるように思います。

一般ユーザーやクライアントの感覚を取り入れると
まず、間違いなくデザインは崩れていきます。
正直に申し上げました。
特に昨今、この傾向がますます強くなっている気がします。
このユーザーやクライアントの感覚という部分が
 -20~30点の部分だと思っています。

赤文字で大きく目立つように・・・みたいな部分ですね。

若い頃から賞取りレースには関心がなかったので、
自分流のデザインを研究した結果が、
ユーザー感覚をあえて取り入れるということでした。

なので私のデザインはB案志向なこだわりレイアウト、
プラス、クライアントの意向を取り入れたちょっと下世話なデザイン(笑
そういうスタイルが出来上がっていったように思います。

イラストレーター、フォトショップの扱いなら
間違いなく若い方の方に軍配が上がります。

でもレイアウト/アイデア/ディレクションなら、私は負けません!
彼ら彼女らとは引き出しの数が違いますから。
引き出しのお話も以前させていただきましたね。

そういう面もあり、会社でも若いデザイナーからは一目置かれてはいます。
アドバイスも求められます。
必要とされるのはやはり嬉しいものです。

若いデザイナーさんが上げたデザインを
チェックするのも 私の仕事なんですが、
私のチェックや指示の仕方は・・・

私が若い頃にされてきたような方法とは違う方法を取っています。
私たちの時代は、上げたデザインをその場で上司に
ビリビリッと目の前で破られ、ワナワナと思わず握りこぶしを握るような
悔しい思いを毎日のようにしてきた時代です。

そういう悔しい思いが、とりあえずこのくらいのもの上げとけばいいか・・・
みたいな考え方を否定させてくれたように思います。

私はデザイナーさんが上げたデザインを優先することを信条としています。
ここを・・・こうすると・・・ほら・・・散漫なデザインに締まりがでるでしょ!
みたいなアドバイス方法です。

私たちの時代は頭から否定される時代でした。
アドバイスも貰えない時代・・・自分で盗め!みたいな時代ですね。

2年ほど前まで私は企業内企画制作課勤務で
自社の商品を売るための広告作りをしていました。

なので私にとって若いデザイナーさんはライバルではなく、
一日も早く一人立ちできるレベルまで成長してもらい、
会社に貢献してもらう・・・いわゆる育成です。
それが私のアートディレクターとしての仕事でした。。

一言で言ってしまえば、デザインって「答え」がない世界なんだと思います。

答えを探して模索しながら作業していると言ってもいいのかもしれません。
「答え」はなかなか見つかりませんが、
デザインにはその「答え」に近づくための基本や理屈が存在します。

パソコンでちょっとしたデザインらしきものが作れる・・・
今の時代、こういう方は多いでしょう。

私たちからするとこの「デザインらしきもの」という言葉・・・
結構厄介な言葉なのです。
作った方は、それなりに自信を持たれてる方が多いですね。
しかし、先ほどの基本や理屈が理解できていないがために
我々プロ(デザインする事でお金を稼いできた人間)から見ると
使えないデザインなのです。

ここで言っておきたい事があります!

Windowsをアドビ社製のWinodows対応グラフィックソフト
(イラストレーター・フォトショップ)をインストールせずに
標準仕様で使っている方・・・
文字も打てるし、画像も貼付けできるでしょうが、

まずデザインする事は諦めてください!

Windowsは標準仕様ではデザインできません。
デザインとは呼べないようなレベルのものは作れます。
私たちは、Windowsで作られたものは一発で分かります。
それくらいお粗末なものしか作れません。

デザインしてみたい方、デザインで飯食っていく事を考えている方・・・
Macintoshを購入してください。
中古でも構いません。
ただし、ソフト代フォント代が別途かかりますが・・・・

いろいろ見ていけば安価で手に入れられる時代です。

ソフトを扱える。
これはデザイナーとしての最低限のスキルです。
扱えて当たり前と認識しておくべきです。

ソフトが扱えるだけで、デザイナー気どりはやめておいたほうが無難です。
口の立つデザイナーからはケチョンケチョンにやり込められるでしょう(笑

なんとなく感覚でデザインしてきて
「上手いね!」って言葉を貰ったことのある方。
それなりのセンスをお持ちなのかもしれません。

あなたのそのセンスを伸ばすには・・・・
広告デザインの基礎を学ばれることをおすすめします。

広告デザインの一番大切な基礎って何だと思われますか?
それは、文字・フォントに関する基礎力です!
えっ、文字?って意外だと思われませんでした?

感覚でデザインしてる人の大半は、
この文字に関する問題点を抱えています。

これについては以前の記事で具体例を出して書いています。
細やかな神経を使う必要があると言うことでしたね。

広告デザインの難しさ。
これは、自分の感覚だけで走れないという事です。
これは広告には目的があるという事。
アート作品ではないということ。

分かり易く言うと、ものを売るためのお手伝いだという事です。
クライアントという存在があることも自分だけの感覚で突っ走れない要因ですね。
あなたの作品作りではないのですから。

描くことや作ることの前に必要な大事な事。

まず「考える」という習慣をつけることが大事でしょう。
原稿を受け取りすぐにMacのまえでキーボード打ったり
マウスを握る人がいますが、
そういう人に限って、表現に走ったデザインが出来上がります。

表現する事に神経が先走りし、
肝心の内容が説明しきれていない甘いデザインになっている。
こういうデザイナーさんは本当に多いです。

次に多いのが、デザインを装飾することだと勘違いしてしまっている人。
これに対する答えは、皆さんご存知の「シンプル」という言葉です。

ただ、このシンプル。

ほんとうに表現できるようになるまでには、
それなりの時間・期間を要すると 個人的には思っています。

シンプルな表現・デザインにするには、
情報をまとめ簡潔にするという作業が必要になってきます。
これが、デザインは「引き算」の作業だと言われる所以です。

今の時代、飾り立てるデザイナーが山ほど存在しています。
そういう飾り立てられたものがデザインらしいデザインだという
誤った理解は問題ありなのです。

余計な罫処理、文字への余計な影付け、フィルターによるぼかし影・・・
一番厄介なのがフィルターを使う事だと考えています。
はっきり言いますが、安易なのです!

フィルターは装飾デザインの最たるものだと考えます。
デザイン・レイアウトで勝負したいなら意識して
フィルター処理は止めるべきです。

そこに神経使うんじゃなく、
伝えなければならないのは、何なのかを考えてください。

その焦点を見えにくくするのが装飾デザインだということです。

私は若い頃(もちろんアナログの時代です)、
中ゴシック、太ゴシック、中明朝の3書体だけでデザインしろ!
余計な加工はするな!という上司の訓練を受けた時期があります。

結果、たった3書体でも十分、広告デザインは創れるんだという事を学びました。
そこで学んだのは、強弱とバランス感覚です!

上司から学んだ中で、今の私に繋がる最も大切なものの一つです。
装飾デザインとは180°異なる考え方ではないでしょうか?

原稿内容の甘さ、間違い、それを修正する能力も大切ですね。
その内容に、付加することでユーザーに分かり易く、
そしてより受け入れられ易くなる・・・

そう、企画力!

キャッチコピーくらいは書ける能力もあれば あなたは、
必要とされるデザイナーになれるでしょう。
そうです、「考えられるデザイナー」です!

それと、いま資格流行ですが、 はっきり言いますが、
デザインに検定資格など必要ありません。
資格持ってるから、仕事貰えるなんて考えは甘い!と言わざるを得ません。

資格なんかより、感覚・センス・広告的思考。
これが一番重要な事です。

想定内のデザインよりも、想定外しかも外さないデザイン!
特に代理店ではそういうデザイナーが求められてるのではないかな?

私は決して優秀なデザイナーではない事は、すでに申しました。
賞などとも無縁なデザイナーです。

そんな私がこの厳しい業界でいまだに生きております。
いま読んでいただいているこの記事が少しでも、
若いデザイナーの方、これからデザイン業界で生きていこうという方、
デザインに興味のある方へのアドバイスになれば嬉しく思います。

それこそが、このブログを書いている理由なのですから。

最後に・・・ デザイン会社にお勤めのあなた。

あなたを成長させてくれるのは社内の人間ではありませんよ!
外部の人です。
代理店のあのディレクターと仕事したい!って思う人いませんか?
ぜひ、そのディレクターとコンタクトを取ってください。
頭下げて「仕事させてください!」くらい言えませんか?

わたしの経験上のお話ですが、
私はこの人のためなら徹夜もいとわないという
ディレクターと出会いました。

その方のおかげで本当にデザイナーとして成長できました。
なにか一つ吹っ切れたような気がしました。
わたしの提案を認めてもらい、
自分のデザイン感覚に自信を持つ事ができました。

その時期は苦しかったけど、面白い楽しい仕事が数々できていました。
私が一番ノっていた時期です。

競艇でのプレゼンを勝ち取り、また別のプレゼンでも勝って
名古屋の企業本社までライター、デザイナー、カメラマン、
営業という体制で取材。

会社案内、入社案内、ポスターなど数百万を売り上げるなど
私のデザイナー生活の中でも忘れられない時期を過ごしました。

ひとりのディレクターとの出会いが
私を一回りも二回りも成長させてくれました。
そんな自信を持った私は、競艇の仕事で、
その当時趣味で始めた音楽制作で積極的にアピールし、
デザイン以外にTV-CFの音楽までやらせてもらいました。
自分の創った音楽がTVから流れた時は、流石に感動ものでしたね!(笑

ぜひ、そういう方と出会ってください。
そのチャンスを積極的に探してください。
その出会いがあなたに自信と大きな成長をもたらせてくれるでしょう。

あなたの健闘を祈ります!

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